2014年12月9日火曜日

シングルマザーにアベノミクスの恩恵遠く-低賃金、展望描けず

シングルマザーにアベノミクスの恩恵遠く-低賃金、展望描けず
Bloomberg 12月9日(火)0時1分配信より

  12月9日(ブルームバーグ):鈴木由香さん(47)には貯金がほとんどなく、収入は全国平均の半分、老後の資金の当てもない。それでも貧困ライン以下で暮らしている多くのシングルマザーに比べるとましなほうだ。

日本では貧困ライン以下で暮らしている単身親世帯が半数を超えており、経済協力開発機構(OECD)は単身親世帯の相対的貧困率について、日本を加盟34カ国中最下位にランク付けした。単身親のほとんどがシングルマザーだ。

子育て中の母親に対する理解が希薄な職場環境や、離婚した夫からの支援が少ないこと、保育施設の不足などが問題となっている。安倍晋三首相は経済分野での女性の活用を掲げて、選挙戦を展開しているが、シングルマザーは取り残されている。

独立行政法人、労働政策研究・研修機構の周燕飛研究員は「諸外国に比べて日本は労働市場における男女間格差が大きく、正規と非正規の雇用格差も大きい」と説明。「最も大きいのは子供への影響。貧困の世代間連鎖が一番心配される」と述べた。

離職

鈴木さんのようなシングルマザーの話は、結婚や育児のために退職や転職した後、予想外の離別や死別を経験するところから始まる。そして正規雇用に戻る見込みがないまま、低賃金のパートタイムや非正規職に十数年にわたって従事することになる。厚労省によると、正規雇用で働くシングルマザーは39%で、シングルファーザーは67%。 

国税庁のデータによると、非正規雇用の年間平均給与は正規雇用の約35%。シングルマザーの約半数が50万円以下の貯蓄しか持たない。日本の全世帯の平均貯蓄額は1047万円。

鈴木さんは11年前に離婚した。結婚前は障害者福祉施設で正規職員として働いていたが、2人の子供の育児のため退職した。娘は19歳、息子は16歳になる。 

鈴木さんは「当時は残業は毎日だし、書類の量が半端なくて仕事を家に持ち帰っていた。子育てしながら、シングルで協力者がいなくて戻るにはきつい仕事だと思って、戻らないことを選んだ」と明かす。

鈴木さんは離婚後、自宅での化粧品の販売や保育園でのパートタイムの仕事を始めた。子供が成長して手がかからなくなるにつれて勤務時間を増やすことができた。今は週に40時間、保育園で子育て支援の仕事をしている。仕事は正社員並みだが、保険や年金、有給休暇などの条件は正社員とは異なる。

保育施設

シングルマザーが子育てをしながら働き続けるための保育施設が整っていない。単身親は保育園に子供を預けた場合、保育料の減免を受けられるが、勤務先や自宅の近くで保育施設を見つけることは簡単ではない。特に大都市ではそうだ。

その場合、費用が高い無認可の保育施設か、3歳以上で1日4、5時間しか受け入れない幼稚園に入れるしか選択肢は残されていない。

東京在住で双子の女の子の母親である都丸美由紀さん(46)は、保育の確保が再就職に当たって一つのハードルになったと語る。都丸さんは自身のシングルマザーの経験について電子書籍を出版した。

都丸さんは20代半ばで結婚し仕事を辞めた。双子の娘を出産した後、夫との別居生活が始まった。2人同時に預かってくれる保育園を見つけることができず、双子が3歳になるのを待って、午後2時まで預けられる幼稚園に落ち着いた。このため、職もパートに限られた。

都丸さんは「一番きつかったのが、夏休みや春休み。その月の給料が全部なくなったりした」と話す。長期休暇や延長保育のために、追加料金を支払わなければならないからだ。

厚労省によると、4月1日現在で待機児童は2万1000人以上。安倍政権は待機児童問題を解消するため、2015年3月末までに保育施設を20万カ所新設する目標を掲げたが、5月の集計に基づく見通しでは目標に9000人足りない。

選挙戦

安倍政権は14日に投票を迎える衆院選の選挙戦で、18年3月までに保育施設をさらに20万カ所設置する目標を掲げている。

鈴木さんや、医療法人の総務として常勤で働く都丸さんは約124万人いる日本のシングルマザーに比べて恵まれていた。元夫から養育費を受け取っているからだ。

厚労省によると、養育費を受けている母子世帯は約20%。米国勢調査局によると、米国では74%の養育中の親が別れた配偶者から養育費を受け取っている。

東北大学の下夷美幸准教授は「日本の離婚は協議離婚がほとんどで、その際の養育費の取り決めが実質的に義務付けされていない。当事者任せにされている」と述べた。

将来への不安

厚労省によると、政府は年間約1万人の単身親に対し職業訓練の給付金を支給している。昨年度までの5年間で約170億円を投じた在宅就業支援は今年度延長されていない。厚労省の評価検討会は費用対効果が低いと指摘した。

安倍政権は少子高齢化に対応するため、20年までに25-44歳の就業率を73%に高めることを目標にしている。13年の女性の就業率は69.5%、男性は91.3%。

鈴木さんは将来について期待と不安を持っている。年収は270万円で老後への備えを始められないからだ。厚労省によると、一般世帯の平均年収は540万円。

貧困率

厚労省はOECDの基準に基づいて、12年の日本の貧困ラインを122万円としている。子供がいる現役世帯で大人が一人の家庭の約55%がこれを下回っている。

OECD諸国の平均では、働く単身親世帯の貧困率は約21%。同データは08年から11年の数字の集計に基づき、韓国は含んでいない。

鈴木さんの今後数年間の目標は、子育てコーチとして活動を始め収入を増やすことだ。最終的には自分の絵本カフェを開くことを目指している。

その準備として、鈴木さんは12年に、ゴールドマン・サックス・ジャパンが運営する1年間の「ひとり親就労支援プロジェクト」に参加した。担当の麻崎久美子氏によると、これまでの5年間で約130人のシングルマザーがこのプロジェクトを通してキャリア相談や資格取得の支援を受けてきた。

鈴木さんは「定年までの15年で計算したら老後に足りなかった。子育てが安定したから次は自分の将来をどうするか考えた」と話す。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 Rin Ichino ,richino@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:
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淡路毅, 中川寛之 ,bmiller30@bloomberg.net


引用以上。


景気対策という名の将来の見えないバラ撒きより、教育・子育てなど未来への投資を行い、本当にこの国を強くすることを考えなくてはなりません。