2012年10月9日火曜日

日本の学校給食「模範的」と注目 ドイツで高い評価

産経新聞の記事より

 

日本の学校給食「模範的」と注目 ドイツで高い評価

産経新聞 10月8日(月)19時58分配信
 「欧米で日本食ブーム」といわれるようになって久しい。ドイツの首都ベルリンでは最近、アジア食品店のみならず、健康食品専門店でも、梅干しやひじきなど日本食材を扱うコーナーがみられるようになった。日本食の定着の背景には、欧米での健康志向の高まりがあるといわれるが、近年ではさらに日本の学校給食も「模範的」として注目されてきているようだ。(ベルリン 宮下日出男)

 「日本の学校給食は世界で最善のもののひとつだ」

 こう礼賛するのは、「ドイツは日本の学校給食から学べるか」との著作を最近出版した専門家のフォルカー・パイネルト氏。

 パイネルト氏がまとめた報告書は、日本では給食のために国と自治体が十分に補助し、保護者は食材費を負担するのみで、専門知識を有した職員の従事が求められていると説明。給食は「教育の一環」として義務化され、配膳(はいぜん)や片付けなどの準備には児童も携わることも紹介されている。

 また、献立についてもコメなどの穀物や肉・魚、野菜など多岐にわたりバランスがよく、給食には家庭の食事で不足した栄養を補う意味があると指摘。地元の食材を使うことを通じて、児童は自分が暮らす地域について「目と胃」で学ぶことができるとも言及し、幅広い効用に注目している。

 ドイツメディアでも、「給食がどれほど楽しいものかは、日本の例が示している」(独紙フランクフルター・ルントシャウ)、「日本の学校では毎日新鮮なものが調理されている」(独誌シュピーゲル)などと、日本の学校給食の充実ぶりを伝える。

 ドイツの一部の小学校や幼稚園は学校給食を取り入れている。だが最近、給食が原因とみられる食中毒事件が発生。ベルリンの地元紙によると、9月下旬、独東部の学校や幼稚園の生徒・児童数千人が相次ぎ吐き気など食中毒の症状を訴えたといい、いずれも同一の業者が給食を納入していたことから、給食が原因との見方が強まっている。一部のメディアは「過去最大の食中毒事件」として、事態を深刻に伝えた。

 子供の健康を預かる学校で、これだけ大規模な食中毒が疑われる事例が発生するのは異例だ。食中毒発生の背景には、国も関与して制度が確立されている日本と異なり、さまざまな点で課題を抱えているドイツの学校給食事情がある。

 ある大学の研究者が国内の給食の状況に関し、給食に従事する職員の資格や調理場などの衛生環境、「毎日、野菜や果物は供されるか」など献立について調べたところ、約90%が適切な基準を満たしていなかったとの結果が出たと報じられている。

 長時間保温された給食は栄養を失い、味もほめられたものではない。給食をとることは義務化されていないため、ファストフードを買うなど、別に食事を済ませる生徒・児童も少なくないようだ。

 連邦制度をとるドイツでは教育は基本的に州の管轄で、給食に関する規定や職員の資格について全国的な統一基準がない。慢性的な財政不足に悩む地方自治体では給食への支出も限られる上、保護者も給食費の負担が増えるのを嫌がり、適切な設備や職員を確保できないのだ。

 ただ、日本式の学校給食をドイツで導入するにはハードルが高いようだ。専門家のパイネルト氏も、コストの問題や教育制度の違いを踏まえ、「ドイツは別の道を探すべきだろう」と結論づけている。